1.性同一性障害の偏見と苦しみ

性同一性障害に対する偏見と苦しみは想像を絶するでしょう。 そして、患者さんを抱える家族の葛藤も様々な苦難があると思います。 御家族の方はその事実を受け入れ、息子であれば娘へ、娘であれば息子へと変わってしまうからです。 そして、社会から向けられる視線もあるでしょう。その中で揺れる家族はどのように暮らしているのでしょうか。 きっと毎日が葛藤の連続だと思います。もちろん、すべてを受け入れ生活している人達もいます。 性同一性障害の性別の取扱いの特例に関する法律が制定されてから実際に戸籍を変更した方もいらっしゃいます。 ここでは御家族の方を中心に見ていきます。
2.迷惑である事は分かっている
性同一性障害の患者さん御本人は自分の行動が家族に迷惑を掛けてしまう事は十分理解しています。 しかし、自分自身のおかれている状況に苦悩しているのも事実です。 それでも自分の性別に対する不快感や性別を変えたいという思いは変える事ができないのです。 そして、自らが起こす数々の行動も家族に迷惑を掛けている事は十分に理解しているのです。 もちろん理解しているからといって、御家族自身が一方的に苦しむ事も避けたいので、 やはり相互に理解し支えあう事ができれば生活にも変化があるのではないでしょうか。
3.見逃せないSOS
自分の事を口に出せない苦しみを御家族の方に気づいてもらおうとして、次のような事を起こす場合があります。 例えば、家族に対して何らかの反抗的な態度をとったり、食事をまったくとらなくなったり（拒食）、犯罪行為（万引きや非行）であったり、 最悪なパターンでは自殺未遂などが考えられます。いかに家族の方がこれらの事に気づけるかが重要となってきます。 これらの事は性同一性障害だけに見られる物では無く様々な心の病気でも見られるものです。
4.友人・知人の理解の難しさ
これは今の社会では本当に難しいでしょう。 同じ悩みを抱えているのであればこのような悩みは無いでしょうが、そうもいかないのが現実なのです。 家族でさえ理解に困惑し苦しむのですから、それが友人や知人といった言わば他人にすべてを理解してもらおうとするのが非常に難しいのです。 また話したことにより、差別や偏見を受けるのではないかと常に悩み苦しんでいます。 話した場合でも、後悔が伴う事があるようです。なので、非常に理解が難しくなってしまうのです。
5.一番の救いには
一番の救いになるのは、やはり御家族の方が性同一性障害である事を理解する事です。 しかし、すべてを受け入れ一緒になって偏見や差別に向かっていくことは容易じゃありません。 何よりも性別を変える際に喧嘩をするのではなく、理解を深め合う様に話し合いができるのが望ましいと思います。 そしてお互いが歩み寄り何らかの答えを見つけ出す事が当事者にとってもご家族にとっても救いになるのではないでしょうか。 また性同一性障害の自助グループなどにも参加する事により、お互いの理解を深める事ができるかもしれません。